恩田陸::流星ワゴン

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

俺の父親はとてつもなく頼りなくて情けない。
今の俺と同じ18の時はどうだったのだろう。じいちゃんの会社が上向きで、そのしあわせが一生続くと思っていたのだろうか。
父はいくつもの分かれ道でミスを犯してる。そのせいで今は夜遅くまで働いている。日曜に休みがあるほうが珍しくなった。昔は土日に必ず休んで、連休になりそうな日は仕事をキャンセルして、旅行に無理やり連れて行かれた。楽しいときもあったし、吐き気がするぐらいつまらないときもあった。今はほとんどない。
会社が持たなくなったのはいつからなんだろう。それをすべて"景気が悪くなったから"の一言で済まそうとする。卑怯で醜くて情けない。嫌いだ。景気が悪くなっても業績を伸ばしている会社はいくつもある。甘えだ。
俺にも父親を受け入れられる日がくるのだろうか。今の父と同じ年齢、48になったらもう一度読んでみたい。そう思った。